深山の2 真夜中の精米所

mcgundam2009-01-05

○ 元旦の朝、地元船橋駅で自転車を盗まれまして、縁起が良いなファック!と思っていたところ、今日の夕方頃、警察から連絡があり、遠く離れた緑台というところで発見されたとのこと。


○ 本当に自転車の件なのか若干の不安を抱きながら、電車とバスで3、40分かけて現地の交番(けっこうな田舎)に赴き、書類を書き、自転車を受け取り、安堵したのも束の間。


○ そういえば帰り方知らないわ!


○ 交番のところのT字路を、どっちに行ったらいいのかすら分かりません。


○ 昨年の夏に、自転車で船橋ダーツの旅(@http://d.hatena.ne.jp/mcgundam/20080814)をした事もあったので、何とかなるような気がしてたんですが、よく考えたらあの時もこの辺りで迷子になって半ベソかいてたじゃない!


○ オマケに時刻は夜9時半、街灯もまばらな辺鄙なところである。 この辺は下総台地といって、火山灰の堆積した土が侵食されてできた、小高い丘と谷状の土地が複雑に入り組んだ、通行の不便な土地なのだ。


○ 勘でT字路を左折したのだが、さっき通った気もするし通ってない気もする暗い坂道が続くのみ。


○ 「こういうときは空を見上げるんじゃよ」とJahの声がよぎった。俺は空を仰いだ。


○ 市街地では見られない、こぼれそうなほどの満天の星である。


○ これで帰れる。こういうとき、俺はいつも太陽の方角で帰り道を探っているのだ。


○ 俺んちは船橋の南端だから、北極星に背を向ける方にいけばいいのだ。 古代より、流浪の民はこうして海を渡り山脈を越え新しい土地を目指したという。


○ どれどれ北極星北極星


○ 


○ 北極星の探し方知りまへん><


○ 北斗七星のヒシャクの方だったか柄の方だったかを星何個分か延ばした先にあるという事はボンヤリ覚えてるのだけど、そもそも北斗七星がどれだか見当がつかない。 だいたいどの七つを選んでも、ヒシャク型に結べないこともない。 これだから星座は信用ならないのだ。


○ そこで俺は、最後の切り札「適当に人通りのある所まで行き、いざとなったら泣く」を強行することにした。


○ しかし、行けども四方を木々と田畑に囲まれた、真っ暗な道が続く。 いつの間にか、舗装されていない雑木林の中の道に迷い込んでいた。


○ これはいよいよ冗談にならんのでiポッドを切る。 ボビーギレスピーの陽気な歌が唐突にやみ、風が吹いて木々が恐ろしい音を立ててざわめく音が耳に飛び込んできた。


○ そうかこの辺の木は冬でも葉を落とさないのだな。 そういうのを常緑樹というのだったな。 怖いな怖いな。


※ このへんで、「日本昔ばなし」などで、旅人が暗くなる前に必ず適当な宿に投宿する意味がわかりました。


※ あと、ちょっとした心霊体験しましたので今度マンガにします。


○ ふと耳を澄ますと、雑木林の真っ暗闇の奥から、パキパキと小枝の折れる音がする。 ヒェー!!


○ 23歳、臆面もなくマジDASH>< 返ってきたばかりの自転車でDAッSH!


○ どのくらい走ったか、前方に雑木林が開け、不自然に明るい街灯の下で、小さな小屋に灯りがともっている。


○ うわー・・・


○ 無人の精米所でした。(画像)


○ ド田舎の片隅に侘しく建っている精米所の佇まいには、思わず恐怖を忘れ、しみじみと感じ入るのみ。


○ ここにもまた、現代の深山幽谷が・・・


○ 振り向くと、今抜けてきたばかりの、墨を流したような闇がこちらを覗いている。 精米所はまるで異世界への門のようだ。


○ 乗ってきた自転車のサドルが、違う形のに変わっているのに気づいたのは、ほうほうの体で自宅に辿り着いてからでした><