リアルスタイラ / 前代未聞 について
○ どうも。
○ 今日は、リアルスタイラ「前代未聞」について。
○ このCDをブックオフで250円で買い、Tポイントカードに2P溜め、家に帰って「まんが道」を少し読んだ後にCDを1枚買ったことを思い出し、PCに入れ、アイチューンズからこのCDの1曲目が流れ出すのを聞いたあなたは、こう口にするだろう。
○ 「ウオオオオ!!!!!ヘッドバング保証ウルトラAランク!!!!」
○ 小気味よくスタッカートするビートに、クランチ寸前なギター、血管ブチ切れのフックが、襲い掛かってくる。
イクぞ トバスぞ ファンキーダイナマイト
イクぞ トバスぞ 感じちゃいなさい
イクぞ トバスぞ マチガイはない マジハンパナイ
○ すなわち何も言ってないのだけど、さぞかしハンパナイのだろうな。と、納得させられる勢いである。
○ Mr.RRと三善善三のRAPが、全体的にかなりデキがいいと思う。フローとかもすげえ力強いし、何しろテクニック的に非常に巧みだ。
○ ファンキー・テクニシャンと言って差し支えない。
○ 特に、当時流行だったようなバウンシー・ビートへの乗り方がメチャクチャかっこいい。
○ 遅れたりつんのめったり、かなりRAPが上手くないとできない芸当を、二人ともけっこう惜しみなく出してきてる。
○ まー、二人のRAPテクを味わうだけでもかなり楽しめるのも確かだが、このアルバム、実は超フレッシュなアイデアの詰まった、ドHIPHOPなアルバムでもある。
○ 誰もが耳を奪われるのは、M10「濃厚愛好家集う」だろう。この曲では、超カッコイイドラムブレイクに二人がまず軽めに4小節のライムを2周ずつかます。
○ この時点でマイクパスフェチの人はウオオオオ!ってなるんですけど、凄まじいのはサビの後で、
○ 突如、左右のスピーカーから別々のRAPが同時に聴こえてくるのだ!ヤバイ!
○ 聖徳太子様の凄さを身に染みて知る事になる。
※ この部分のMr.RRの歌詞がとても好きで、「左から攻めるつまり右じゃないほう」とか「今んところで4小節、次は5小節、次は6小節」など、説明しなくてもいいことを親切に説明してくれている。
○ 次にM9「MUSIK」なども非常にユニークで、アブストラクト。
○ ファンキーなのであろう音楽がループされているのだが、多分レコードの針飛びを意識した作りで、約3.5拍目くらいの中途半端なところでループされているという、かなり奇妙なトラックだ。
○ しかし、かように奇妙なリズムさえも、二人は韻を踏みながら超かっこよく乗りこなすのだ!すごい!(@フルメタルジャケット)
○ アルバム中盤には、M12「危機KICK IT」という社会派ソングもあり、この曲では三善善三が時限爆弾を、RRが対人地雷を演じ、両者とも自分が爆発しないことを願っているという、大変考えさせられる一曲である。
○ 嘆きと祈りに満ちた厳かな曲だが、爆弾を擬人化したセリフ、例えば「そのアチー焼きごてみたいな棒の先、俺の体に何度も何度も押し当てるのはやめてくんねーかな?とりあえず」だとか「なんか俺と同じような顔の奴がいるぜ」だとかが、妙に愛くるしくて印象深い。
○ さらに、M17「共存共栄」なども出色のデキである。この曲は、RRが焼肉を、三善が回転寿司を食って、お腹いっぱいになるという、とてもいい曲。
○ 三善善三の、「アナゴ、タマゴ、タコ、アナゴ、シャコ、タコ、またも、タコ」という部分などは、回転寿司の皿が回っている状況を韻を使って巧みに表現していると思う。
○ M7「Z@KKENN@ talk ? feat.ミネ神ホールド」も実に愛すべき一曲。RRが自分のバイクにいたずらをされたことに対して立腹している曲である。
○ 「『すいません』じゃ済みません!なっ!テメー!オイ!」「さらにタイヤまで刺しやがってよ!勝手によ!オラア!」「クソが!」など、かなり腹を立てていることが分かる。
○ と、まあこんな感じで、高いRAP技術と、笑いとアイデアの大量に詰まった、とってもいいアルバムだ。
○ 走馬党の作品群のなかでもかなり異色な、楽しめる作品なので、皆さんもデスメタルばっか聴いてねーで「前代未聞」買え!なっ!テメー!オイ!